第21回微小脳神経外科解剖セミナーを第27回日本脳神経外科コングレス(東北大学冨永悌二会長)の最終日に仙台にて開催させていただくことは誠に名誉なことであります。
本セミナーは昭和61年に故北村勝俊九州大学名誉教授とフロリダ大学ロートン教授により「微小脳神経外科解剖セミナー」の名称で発足いたしました。その後、日本脳神経外科コングレス総会にあわせて開催され、昨年東京において井上会長のもと第20回が開催され、名実ともに伝統ある研究会に成長し、多くの脳神経外科医の手術成績の向上に寄与してきたものと信じております。
今回は、第27回日本脳神経外科コングレス冨永悌二会長のご協力をいただき、できるだけ多くの先生方が効率よく勉強していただけるようコングレス最終日に開催させていただく運びとなりました。また、テーマはあえて「臨床に役立つ活きた脳神経外科手術解剖」とさせていただきました。特に講師の先生方には、いままで蓄積された微小脳神経外科手術解剖の知見が、実際の臨床の場、手術の場でどのように活かされているのか、どのような解剖学的知識が必要なのか、解剖学的な観点からみた手術のこつは何かを明確にお話していただくようにお願い致しました。
脊髄硬膜外静脈叢で有名なBatson先生は“Living anatomy is slowly editing and replacing the anatomy of the dead room.”という言葉を残されています。解剖は普遍的ではあっても、不変的ではないのかもしれません。ご遺体で学ばさせていただいた知識をもとに手術を行い、患者さんを治療する。また生きた患者さんから本当の手術解剖を学び、伝えていくことは実際の生きた患者さんの手術を行う脳神経外科医の使命であり、まさに“活人剣”の極意とも言えます。
一人でも多くの先生方がご参加いただき、本セミナーの宝箱から明日の臨床に役立つおみやげを一つでも多くお持ち帰りいただけると幸いに存じます。皆様のご参加をお待ちしております。
第21回微小脳神経外科解剖セミナー会長
坂田勝巳
(横浜市立大学 脳神経外科 准教授)