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鹿島建設株式会社 須田 久美子先生「ゼネコン・ドボジョの働き方 ~メンター制度から導く組織改革~」を開催しました

2024/06/20(木)

65日(水)18:00-19:00、今年度第2回目の未来型医療創造卓越大学院プログラムFM DTS 融合セミナー(共催:臨床研究推進センターバイオデザイン部門・医工連携イノベーション推進事業)鹿島建設株式会社 土木管理本部土木企画部 人事・教育グループ 専任部長 須田 久美子先生の講演会をハイブリッド形式にて開催致しました。

 

今回の講演では、女性の進出が極端に遅れている建設産業にて、誰もが「働きがい」と「働きやすさ」を両立できる職場づくりについて、ドボジョ(土木系の仕事や学問に携わっている「土木好きの女子」)として須田先生が実際に取り組まれてきた環境整備の様々な事例を踏まえてお話いただきました。

 

2022年の鹿島建設の土木系技術者社員の女性比率は5.2%、ドボジョが配属されている土木現場は全体の2割弱で、ドボジョと働いたことがない男性技術者は5割以上という現状があります。須田先生は研究者、設計者、現場監督、建設の一連の流れをご経験なさってきました。特に、現場でのご経験の際には、土木工事現場で女性が働くために、女性目線での工夫、経営者と同僚の理解や、法律の問題等、女性技能者の抱える課題を認識したとのことです。

 

そこで、全ての人が働きやすい土木現場を実現するために、土木現場で働く女性の比率50%を目指して、女性の職域拡大に向けた法規制の緩和や、多様性のある組織を柔軟に運営できる人材の育成などに取り組み始めました。まず、2007年からドボジョ育成として、現場見学や研修を通して女性土木技術者の交流の機会を作りました。自分にあった働き方を見つけるには、多くのドボジョとのつながりが必要であると感じ、交流の機会には悩みやキャリア相談に積極的に応じました。また、ドボジョの上司からも育成指導の方法について悩み相談が寄せられるようになりましたので、外部講師による上司セミナーも行い、これは、現在、マネジメント研修の一部に取り入れられています。


土木の仕事に働きがいを感じる一方で、働きがいだけでは仕事が続かない現実もあります。結婚・出産・育児がキャリア形成にマイナスになるのか等、漠然とした不安を感じている若手が多く、交流の機会を活かしてアドバイスをしていたものの、ドボジョの人数が増えるにつれて、それでは追い付かなくなりました。そこで、2014年から交流の場に積極的に参加してくれていた先輩社員にメンター研修を受けてもらい、若手ドボジョを対象に土木系メンター制度の試行を開始しました。メンター同士で2か月に1回程度、情報共有の会議を行い、現場の環境改善などの共通の課題についてはワーキング活動も行えるようにしました。ワーキング活動の提案がきっかけで2015年からは女性の目線を現場の環境改善に活かす「鹿島たんぽぽ活動」が全社展開されています。土木系メンター制度をドボジョに限定して試行しましたが、就業継続と管理職への意欲醸成に効果が認められたため、2020年からは、職場や部署の垣根を超えた接触を通じてメンター・メンティ双方が学び合う事を目的に、性別にかかわりなく本格運用されるようになりました。

 

さらに、女性の坑内労働規制の緩和に向けた取り組み、地域建設業技能者の声を集めるための建設業女性定着支援ネットワークについてもご紹介いただきました。女性技能者の定着に向けた課題解決のためには、労働法制等、建設業が抱える本質的な問題に取り組む必要があります。

 

国、大学、市民と連携し、ネットワークによる女性定着の促進を行う等、土木系メンター制度のノウハウを活かして、働きがいと働きやすさを両立できる建設産業を目指した取り組みを社内外に展開し、柔軟な働き方を可能にする土木現場を実現していきたい、と締めくくられました。

 

本講演会は、卓越大学院プログラムに参加する学生の他、企業の方を含む幅広い領域から学内外383名の方々にご参加いただきました。


須田先生、ご講演いただきありがとうございました。


文責:歯学研究科 博士課程3年 小出理絵


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