株式会社パソナJOB HUB 加藤遼先生「「はたらく」ことの再定義:現在地の価値認識と新たな居心地の良い場所、新しい生き方に巡り合うこと」を開催しました
10月16日(水)18:00-19:00、今年度第6回目の未来型医療創造卓越大学院プログラムFM DTS 融合セミナー(共催:臨床研究推進センターバイオデザイン部門・医工連携イノベーション推進事業)株式会社パソナJOB HUBソーシャルイノベーション部長 加藤 遼先生の講演会をオンラインにて開催致しました。今回の講演では、私たちが最適な働き方を見つけ出し、自分らしい持続可能なキャリアを形成するための考え方のヒントをご紹介いただきました。
序盤では、「はたらく」ことを3つの視点から定義されました。まず、個人視点では、単に物質的欲求を満たすだけでなく、自分自身のライフスタイルや価値観に合った精神的充足感を得る手段として位置づけられました。次に、社会視点として、地域社会やコミュニティ経済を支え、相互扶助を通じて社会全体の繁栄に寄与する役割が説明されました。最後に地球視点として、SDGsと密接に関連し、持続可能な未来を築くための手段であることが述べられました。
続いて、働き方改革とそれに伴う現代の働き方の多様化について言及されました。働き方改革は、ワークスタイルトランスフォーメーションとも言い換えられ、ライフスタイルそのものにも大きな変化をもたらしております。現在では複業やパラレルキャリアといった新しい就業形態が広がりつつあり、複数の職を持ちながら柔軟に働くことが、自己成長やスキルの活用に繋がると指摘されました。また、テレワークの普及によって、従来の終身雇用の枠を超え、個人のライフスタイルに合わせた柔軟な働き方が可能となり、地域と都市部を結ぶ新しい就業形態が広がっていることが説明されました。具体的事例として地方自治体が地域に住む人々の新しい働き方を支援する施策を展開しているケースを多数紹介されました。
後半では、自分らしい持続可能なキャリア形成とは何かを3つの視点から考察されました。まず「直観と芸術のキャリア」として、個人の直観や芸術的表現を基に自分らしいキャリアを追求することが重要であると言及されました。次に「縁と分人のキャリア」では、社会とのつながりや縁から仕事が生まれ、個々の役割や使命が形成されるプロセスが取り上げられました。分人的な視点では、複数の自分を持ちながら、多様な社会的役割を果たすことでキャリアが築かれていくことが示されました。「探究と表現と社会的影響のキャリア」では、探究心と自己表現がソーシャルイノベーションを生み出すことが強調されました。
今回のご講演を通じて、「はたらく」という概念は、経済的な利得にとどまらず、個人の充足感や社会的役割、さらには地球規模での影響を含む広範なものとして再定義されつつあることを学びました。私たち一人ひとりが従来の固定観念から脱却し、自分に適した多様で柔軟な働き方を模索することが、より豊かで持続可能な社会の実現において重要であると感じたご講演でした。
本講演会は、卓越大学院プログラムに参加する学生の他、企業の方を含む幅広い領域から学内外334名の方々にご参加いただきました。
加藤先生、ご講演いただきありがとうございました。
文責:医学系研究科保健学専攻 博士後期課程1年 櫻井碧