第25回日本分子脳神経外科学会に参加しました。
2025年7月25日(金)〜26日(土)の2日間にわたり、第25回日本分子脳神経外科学会が、北海道・札幌市のグランドメルキュール札幌大通公園にて開催されました。学会長は、北海道大学大学院医学研究院脳神経外科学教室 教授の藤村幹先生が務められ、今回の学会テーマは「分子が奏でる脳神経外科:課題と展望」でした。分子生物学的手法を基盤とした脳神経外科領域における最先端の研究成果が多数発表され、今後の臨床応用への展望について活発な議論が交わされました。
教育講演では、東京慈恵会医科大学 薬理学講座 教授・青木友浩先生より、「RNF213遺伝子欠損動物などを用いた脳動脈瘤病態解析」というテーマでご講演をいただきました。もやもや病の感受性遺伝子であるRNF213遺伝子に関する研究を含む内容であり、疾患モデル動物の作製方法や今後の研究展開に関して、基礎研究の視点から極めて示唆に富むご提言をいただきました。会場内でも多くの議論が交わされ、非常に刺激的で有意義なセッションとなりました。
当科からは10題の演題を発表いたしました(敬称略)。脳腫瘍、脳血管障害、再生医療といった幅広い領域にわたる研究成果を報告し、多くの参加者の方々からご質問やご意見を頂戴しました。
また、本学会では他施設の先生方による多様な発表を通じて、研究の最前線に触れる貴重な機会を得ることができました。他分野の知見を取り入れることで、現在の研究の枠組みを再考し、新たな視点やアイデアを得ることができた点も大きな収穫となりました。
今回の参加を通じて、当科における基礎研究と臨床の橋渡しをさらに強化していく必要性を再認識するとともに、今後の研究・診療活動における新たな指針を得ることができた、非常に有意義な学会となりました。
相川 享 「膠芽腫細胞におけるtRNA-Queuosine修飾の役割と治療標的としての可能性」
田代 亮介「もやもや病の病態における免疫恒常性の破綻と免疫関連バイオマーカーの探索」
田代 亮介「ミトコンドリア転移による神経保護・神経再生療法の構築」
新妻 邦泰「クラゾセンタンを中心としたくも膜下出血の周術期管理」
Sherif Rashad「tRNAmodifications drive glioma oncogenesis and are targets for therapy」
佐藤 吉通「2型糖尿病マウスにおける脳低灌流時の側副血行障害と白血球動態に関する研究」
永井 友仁「人工硬膜デュラビームの生体親和性と組織再生能についての探索的研究」
熊井 萌「外傷性脳損傷に対するMuse細胞治療の有効性と作用機序に関する検討」
Sherif Rashad「Multi-omicsAnalysis of Epitranscriptional and Translational Dysregulation During CerebralIschemia」
石田 朋久「中赤外分光法を用いた脳卒中血液診断法の確立」
(文責:相川)
