患者さんへ

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機能的脳神経外科

てんかん

てんかんは罹患率1%とも言われ、非常に患者さんの多い疾患です。その一方で他の脳神経疾患に比べてよく知られておらず、より良い治療はなにかと議論されることが少ないという特徴もあります。てんかん発作は発作自体が多岐にわたり、発作のない時にも行動を制限される(予期不安、発作時のリスク回避)ため、日々の生活に対する不利益は皆様が思っておられるよりはるかに大きいとされています。また一般社会への啓発の少なさ、無知や偏見も相まって、患者さんやご家族の感じる悩みや辛さ、哀しみは単純ではありません。
そのようなてんかん発作に対して、東北大学てんかんセンターでは発作のメカニズムを解明し、薬剤抵抗性の発作や内服副作用に苦しむ患者さんに外科治療を提供しています。
てんかん発作は動きや感覚、意識など“脳のパフォーマンスの障害”であり、病変が目に見えない機能性病変であるため、その原因を特定することは非常に難しいものです。入院による包括的てんかん精査により、長時間ビデオ脳波、MRI、FDG-PET、脳磁図、神経心理評価、心理社会評価、超選択的カテーテル検査など、多方面からの評価を行いてんかん焦点だけでなく人生の最良のタイミングと理解を持って手術に向かえるよう、多くの専門職種が議論を行って治療方針を提示します。
その議論に応えられるよう、我々脳神経外科はてんかん外科の全ての治療法に対応しています。小児症例や合併症・併存症がある患者さん、頭蓋内電極留置を必要とする複雑な症例など、多くの専門家と連携し日々の治療を行っています。

頭蓋内電極留置を行い、てんかん性異常が見られた領域を確認した。脳形状に沿った立体的な分布で、切除をシミュレーションする。


術中脳波測定でてんかん焦点を同定。見た目は正常な脳にしか見えない(左図)
てんかんの焦点を同定し選択的に脳を切除する(右図)

迷走神経刺激療法の外来刺激調整風景。東北地区は広く、遠隔外来で地域拠点病院と連携しており、埋め込み後の患者さんも安心して生活できる。

三叉神経痛・片側顔面痙攣

三叉神経痛は、一側顔面の激しい痛み(電撃痛)が、特に顔面に触れるなど刺激によって誘発される病気です。片側顔面痙攣は、まぶたや口角に細かい痙攣を生じる病気で、時にまぶたを開けていられない位に進行することもあります。脳腫瘍などが脳神経を圧迫して生じる場合もありますが、多くは脳血管が脳神を圧迫することで生じるとされます。この圧迫している血管は最近の画像診断の進歩により、手術前に同定することが可能となりました。手術によって、圧迫している血管を神経から離すことで、多くの患者さんは症状が劇的に改善します。内服治療や局所注射で効果が不十分な場合に、手術(微小血管減圧術)を行います。我々は術前シミュレーションや電気生理学的モニタリングを駆使してより安全確実な手術を目指しています。

術前に行う画像検査を用いた三次元融合画像から顔面神経 (CN7, 紫)が動脈 (a)に圧迫されている様子が分かります (*圧迫部位)。動脈 (a)を移動し固定することで顔面神経 (CN7)の圧迫が解除され、術後顔面痙攣の消失が得られています。
a 圧迫血管, CN7 顔面神経, CN8 聴神経, LCNs 下位脳神経, *圧迫部位

パーキンソン病

パーキンソン病は大脳内のドパミン産生細胞が減少し脳の中のドパミンが不足することで症状が起こります。治療の原則は薬物治療ですが、病状や症状の種類、薬の副作用などによっては外科的治療を組み合わせた方が有効な場合があります。外科的治療は脳深部の基底核という小さな構造に正確に針を刺す定位脳手術と呼ばれる手術法で行われ、針の先に電気を流して周りの構造を凝固する凝固・破壊術と、治療用の電極を留置しそこに持続的に弱い電流を流し続ける脳深部刺激療法(DBS: Deep Brain Stimulation)という二種類の治療法があり、病状・年齢・経過予測などをもとに選択します。手術は特に薬の効いていない時の症状を改善し、薬の必要量を減らすことが出来ますが、病気の進行を止める効果は乏しいとされます。内科的治療のみでは満足のいく日常生活が送れなくなったパーキンソン病の患者さんはご相談ください。ただし薬が全く効かないほど進行したパーキンソン病末期の患者さんには残念ながら効果がありません。
定位脳手術については、宮城病院に専門のスタッフを配置して治療を提供しています。

ジストニア

ジストニアは筋緊張の異常により異常運動・異常姿勢を呈する病態です。薬物治療が試みられますが十分な効果が得られないことも多く、局所性ジストニアである眼瞼痙攣や頸部ジストニア(痙性斜頸)にはボツリヌス毒素(ボトックス®)の局所注射が行われます。このような内科的治療で効果が得られない場合、手術を考慮します。病型・症状等により定位脳手術(脳深部刺激術(DBS)や凝固・破壊術)、末梢神経手術などが選択されます。

難治性疼痛

脳卒中後や脊髄損傷などによる四肢や顔面の神経障害性疼痛のうち、種々の薬物が効かない痛み(難治性疼痛)に手術が有効な場合があります。定位脳手術や脊髄刺激療法を行っています。

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